大規模修繕工事は劣化が深く進行する前に実施することが最善ですが、修繕積立金の状況によっては工事を延期したり、工事範囲を縮小したりすることがあります。
しかし、これでは満足のいく工事にはなりませんし、結果的に高く付いてしまうことになりかねません。

2〜3年後を目処に実行

修繕積立金を見直す

大規模修繕工事を実施するまでには、どの程度の工事費がかかるかを検討し、現状の資金で十分かどうかをチェックしておく必要があります。不足するようなら修繕積立金を増額することになります。このとき大規模修繕工事が完了した後も増額したままにしておくかどうかも検討しておきましょう。


資金は不足しているが即座に実行

住宅金融支援機構などから借り入れる

不足金額の全部または一部を管理組合名義で、住宅金融支援機構や民間の金融機関から借り入れる方法があります。融資の申し込み資格や融資条件は金融機関によって異なります。場合によっては借り入れができないことがあるので、着工直前になって融資が受けられないことが判明して慌てることがないように申し込み資格や融資条件をしっかり確認しておきましょう(「管理組合借り入れのキーポイント」参照)。また、工事完了後(融資実行後)は借入金を返済することになるので、それを見込んだ修繕積立制度に見直しておくことが必要です。

各居住者から一時金を徴収する

不足金額を各住戸から一時負担金として徴収する方法です。できるだけ負担額を低く抑えるようにすることはもちろんですが、負担感を少しでも軽くするために2〜3回に分割して徴収したり、まとまった資金を拠出できない住戸には工事ローンを紹介するなどの方法を採り入れて、スムーズに徴収できるようにします。

借入と一時徴収を組み合わせる

管理組合の借り入れと各住戸の一時負担を組み合わせて資金不足を補う方法です。こうすることで各住戸の一時負担金を低く抑えることができます。

専有部分の関連工事費はどう扱うか

共用部分の大規模修繕工事に伴って専有部分の工事も合わせて行うケースが少なくありません。この場合、共用部分は管理組合、専有部分は個人というように工事費を別個に負担するのが基本原則です。ただ、給排水管の更新工事に合わせて、住戸内(専有部分)の給排水管についても更新するといった場合は管理組合が一括して拠出し、配管の材料の仕様変更などを希望する住戸は差額を別途負担するという取り決めをしている管理組合もあります。後日、問題が起きないように何をだれが負担するかを、あらかじめ取り決めておくようにしましょう。

管理組合借り入れのキーポイント

金融機関から工事費の融資を受けられるかどうかは各金融機関によって取り決めがありますが、住宅金融支援機構では次のような規定を設けています。参考にしてください。

  1. 総会の決議で「管理組合が住宅金融支援機構から資金を借り入れること」「修繕積立金を返済金に充当すること」「管理組合が(財)マンション管理センターに保証委託すること」などの定めがあること。
  2. 修繕積立金が一定期間以上にわたって定期的に積み立てられており、管理費や組合費と区分して経理されていること。また、修繕積立金が適正に保管されており、滞納割合が一定割合以内であること。
  3. 毎月の返済額が毎月徴収する修繕積立金の80%以内であること。(※修繕積立金の滞納割合によっては条件が異なります。)
  4. 管理組合の管理者等が、リフォームするマンションの区分所有者の中から選任されていること。
  5. その他、詳細は住宅金融支援機構にお問い合わせ下さい。