目的と効果

外壁仕上げに新たに塗装を施すことによって、建築物の下地を保護し、美観の向上を図ることができます。さらに、その建物の立地環境条件や劣化条件によって要求される機能等を付け加えることも可能です。
適切・最適な材料を使用し、適切な作業を行えば、上記要素から手入れの行き届いた建物と評価され、資産価値の向上につながります。

工法・仕様

(外壁塗装の工法)

外壁には既存の仕上げ塗膜があり、その塗り重ね適性を考慮して材料を選定する必要があります。
大規模修繕工事を行う際には、居住者が住まう中での作業となりますので、材料が飛び散りやすい吹付け作業よりも、ローラー塗装工法を選択するケースが多くなります。
各々の塗装工法によって異なりますが、最も一般的な外壁改修塗装工法には、下地のひび割れに対しての追従性を考慮した微弾性性能があり、かつ、塗膜に肉厚をつけることができる改修専用の「可とう形改修用仕上塗材(微弾性フィラー)」とその上塗り仕上材料の組み合わせが圧倒的に多くなっています。

(塗装工程)

(仕上がり模様;例)

上塗りの仕上げ塗料については、最上層に位置するため、紫外線等の外部劣化因子に対する抵抗性を付与する材料が使われます。近年ではライフサイクルコスト(LCC)を考慮して、水性アクリルシリコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等の高耐久仕様が多く採用されています。また、外壁面は塗り面積も大きいため、塗装材料も臭気の強い溶剤系よりも水性系の材料が選択されるケースが増えています(ただし、鉄部塗装・防水施工などにおいてはその限りではない)。

(外壁の美観・意匠を重視する工法)

塗装仕上げは建物の維持保全において必要不可欠ではありますが、美観向上も大事な要素です。様々な独特の意匠を持った仕上げ工法があります。

コンクリート打放し調仕上げ
水性自然石調多彩模様塗料
石材調仕上塗材

ポイント

様々な機能を持った耐候性の高い仕上げ塗料が普及してきています。汚れがつきにくい低汚染塗料などもあり、雨水の流れるルートが一点に集中しやすいような部位などでは、筋状の汚染がつくことを抑える効果があります。
また、既存塗膜の種類によっては改修用下塗材が付着しないことがあります。その場合は、仕様選定前に様々な下塗材を用いて試験施工などを行い、既存塗膜との付着性の確認をしておく必要があります。
水性塗料とは溶媒が水の塗料ですので、溶剤系塗料と比較して明らかに臭いは少ないですが、外部用の塗料は塗膜の性能を確保するために、若干の溶剤成分が配合されています。したがって、少なからず臭いは生じます。

外壁塗装後

建物躯体の劣化の少ない美観の良い仕上げ塗装を施すことで、手入れの行き届いた建物は資産価値として高く評価されます。

塗装前
塗装後

意匠性仕上げの事例

天然の素材感を生かした意匠を持つ高級装飾仕上塗材の例