目的と効果

屋上に施工されている防水には寿命があり、機能維持のため定期的な改修工事が必要です。
既存の防水層の種類により、改修工法と改修仕様を選定する必要があります。
改修工事は複数回実施するため、次期改修工事を踏まえた検討が重要です。

工法

撤去工法

既存防水層や保護仕上げ材を全面撤去し、新規防水層を施工する工法

かぶせ工法

平面部は基本的に残し、必要最小限の撤去のみで新規防水層をかぶせる工法

ポイント

工法選定にあたり、経年数・何回目の改修工事か・漏水の有無・既存防水層の劣化状況・使用用途変更の有無等を確認する必要があります。
撤去工法とかぶせ工法には、いずれもメリット・デメリットがあり、全体工期やコストに大きく影響するケースもあり充分な検討が必要です。

劣化写真

露出防水層の場合、劣化状況を直接確認する事が可能です。ひび割れ・剥離・欠損・ふくれ等、今後漏水の原因となる予兆を示しているケースもあり、定期的な観察が必要です。

防水層の破断
断熱性能の低下
防水層の剥離

仕様

改修工法の選定と併せて、改修仕様の選定も行う必要があります。
既存防水層種類や既存仕上げ状況、使用用途等によりどのような防水材料をどのグレードで施工するかを選定する必要があります。

各種防水層との相性例(露出防水層の場合)
  アスファルト防水
(既存)
塩ビシート防水
(既存)
ウレタン塗膜防水
(既存)
アスファルト防水
(新規)
塩ビシート防水
(新規)
◎~〇 ◎~〇
ウレタン塗膜防水
(新規)
△~× 〇~△

*既存防水層種類により評価が異なる場合もあります。
*仕様により施工可能な場合もあります。

改修工事の実施回数と撤去・かぶせ判定

大規模修繕工事(防水工事)の回数による仕様の変化(露出防水の場合)

この図は既存防水層が露出防水であり、耐用年数15年の防水層を3年前倒しの12年目で改修工事を実施し続けた場合のケースです。

  • 改修1~2回目
    既存防水層に新規防水層をかぶせる場合、相互の接着性や固定方法、耐風圧性、追加荷重、改修後使用用途等に問題が無ければかぶせる事が可能となります。
  • 改修3回目以降
    既存防水層の種類や断熱材の有無、仕様のグレード、劣化状況等により何回目かの工事の際に今までの防水層を全面撤去し新しく防水施工を行う時が到来します。

長寿命化改修のすすめ

  • 建物の寿命を認識し、寿命まで何回防水層改修工事を行う予定か?
  • 複数回実施する改修工事と想定し、改修工法・改修仕様の選定を行っているか?
  • 新築時と比較して現在断熱性能は不足していないか?
建物の劣化と改修サイクル図

屋上屋根防水層は建物資産価値にも影響する重要な機能のひとつです。
専門家による定期的な調査診断とそれにより計画された改修工事を実施していく事が建物全体の長寿命化、建物資産価値維持につながっていくと考えられます。