目的と効果

旧耐震基準による建物の耐震化を促進するため、所有者には耐震化の努力義務が法律で定められております。耐震化事業には補助金等の支援制度があります。
旧耐震建物は、耐震化を行うことで、耐震安全性が向上し、不動産価値も向上します。

工法・仕様

耐震基準と法整備

耐震基準は、大きな地震災害が発生する度に、これまで様々な改訂がなされてきております。

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耐震化の補助

国や自治体から補助等の支援策は、現在も拡充され続けております。
国交省HP: https://www.mlit.go.jp/common/001228946.pdf

ポイント

1995年の阪神淡路大震災をうけて、同年「耐震改修促進法」が規定され、1981年以前の設計の建物(旧耐震建物)の耐震化について、建物所有者の努力義務が規定されました。
2000年には「マンション管理適正化法」により、区分所有者に努力義務が定められました。
2006年には「宅地建物取引業法」により、建物の重要事項説明書へ耐震診断の実施の有無の記載と、その内容説明が義務付けられました。
2013年には「耐震改修促進法」の改正により、耐震化事業への補助等が始まりました。
旧耐震建物は、耐震化を行うことで、耐震安全性が向上し、不動産価値も向上します。

地震に弱いマンションの特徴

大地震時に旧耐震建物に顕著な被害が出やすい理由は、新耐震基準では、中地震(震度5強程度)に加え、大地震(震度6強以上)に対しても建物が崩壊しないように構造設計を行うのに対して、旧耐震基準では、大地震に対するチェックが行われていない事によります。
また、構造上のバランスが悪い建物(形状が不整形、ピロティやセットバックがある、柱際に腰窓があるなど。(図参照)は、大地震時に顕著な被害が発生することが知られておりますが、旧耐震基準では、これらに対するチェックも行われていません。
耐震化事業は、耐震診断・補強設計・耐震改修工事の3段階で進めます。(下記フロー図参照) 分譲マンションの場合、管理組合は、各段階毎に区分所有者間の合意形成を図り、区分所有法に基づく決議により、事業を進める必要があります。

区分所有法17条1項より、共用部の形状または効用の著しい変更が無い場合は普通決議(区分所有者及び議決権の過半数以上の賛成)、ある場合は特別多数決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成)による決議が必要になります。
一般的に、耐震診断と補強設計は普通決議、耐震改修工事は特別多数決議になります。
また耐震化事業にて助成金等を利用する場合などは、専門的な知識が必要な手続きが伴う場合や、完了までに数年を要することもあるため、専門の検討委員会を立ち上げて対応することが望ましいです。

 地震に弱いマンションの特徴

耐震化事業のフロー図

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