目的と効果

1995年の阪神淡路大震災は、大都市圏の大震災としてインフラや建物に大きな被害を与え、大都市圏マンションに様々な教訓を残しました。また、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、鳥取県中部地震等、都市圏マンションについても防災対策が求められています。また、防災対策は、地震対策だけでなく、異常気象による豪雨・洪水対策、土砂災害対策等も必要です。
大災害は居住者生活に大きな影響を与えます。このため、マンション管理組合は大災害に対し、安全・安心・生活維持の準備をする必要があります。しかし、実際にどのようなところから手を付けるべきでしょうか。
そのような場合、まずは、地域の自治体が公表しているハザードマップを確認することが大変重要です。
(※必ず最新版をご確認下さい。)

工法・仕様

ハザードマップは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図です。現在、はとんどの自治体のホームページでハザードマップが公表されており、皆様は容易に確認することができます。
ハザードマップから、マンション周辺地域でどのような災害が生じ、建物にどのような影響があるかを想定し、そこからマンションの防災対策を具体化していきます。

自治体で公表しているハザードマップの例

ポイント

①地震ハザードマップ

地震ハザードマップでは、地震よる被害想定等を確認できます。地震の規模・震度想定により、震度、火災・洪水・液状化等も表示されます。マンション周辺の状況、避難経路、ライフラインの破壊等を想定できます。
千葉市が公表している東京湾北部地震想定時の千葉市中央区の地震ハザードマップを例に挙げます。

②洪水・河川浸水ハザードマップ

洪水・河川浸水ハザードマップは、河川堤防決壊等による浸水区域と浸水深さを想定表示しています。洪水によりマンション周辺の交通・電力・通信や補給物資が止まります。
マンションにおいても住戸や電気室・ポンプ室・エレベータ等が浸水すると、長期間に渡りマンションに大きな影響が生じます。 東京都荒川区が公表している隅田川、荒川放水路決壊に伴う洪水・河川浸水ハザードマップを例に挙げます。

③土砂災害警戒ハザードマップ

土砂災害警戒ハザードマップは、土砂災害警戒区域の指定地域を表示しています。自然環境豊かな丘陵等のマンションでは、周辺の崖や急な斜面で土砂災害が想定される場合もあります。
横浜市が公表している土砂災害警戒ハザードマップを例に挙げます。

④津波浸水地域ハザードマップ

津波ハザードマップでは、津波による浸水状況が想定できます。
マンション敷地に直接影響がない津波も、周辺の交通機関やライフラインを破壊し、マンションへの電力途絶や補給物資の停止が生じる可能性があります。
神奈川県鎌倉市が公表している津波浸水地域ハザードマップを例に挙げます。

⑤液状化地域ハザードマップ

地震災害による液状化は、マンション建物には直接大きな影響は生じませんが、マンション周辺道路への流砂、給排水管・地中電線管の押し上げにより、インフラ破壊や、建物本体と周辺地盤との段差の発生等が懸念されます。
横浜市が公表している液状化地域ハザードマップを例に挙げます。

マンションが立地する地域のハザードマップから、マンション周辺の土砂災害、津波・洪水等の水害、液状化等災害の影響を把握・検討し、その上でマンションの防災対策を検討します。
マンションの全居住者が満足できる防災対策は不可能でしょう。管理組合内で協議を重ね、段階を追って検討していくことが必要と思います。