目的と効果
住宅の電気容量不足
IHクッキングヒータ等の大容量機器や家電製品の増加により、住宅の電力容量が不足しています。一方、住宅の最大電気容量は、マンションの電気設備により上限が決まっており、対応ができなくなっています。
電力設備の劣化
受変電設備や制御盤、分電盤等は経年劣化により性能が低下すると、事故や停電等を生じる可能性が増してきます。マンションの電気設備の不足や劣化により電気が使用できなくなることは、快適なマンション生活を維持するためには、重大な問題となります。
工法・仕様
電力幹線改修
住宅の電気容量不足を解消するためには、マンションの電力幹線設備の全面改修を行う必要があります。
具体的には、住宅の新しい最大電気容量を設定し、電力幹線設備の設計を行います。その上で現状の電力設備に併設して新しい電力設備(主開閉器盤、電力幹線ケーブル等)を設置します。その後、マンション全体を停電させて、現状の設備から新しい設備に切り替えます。
電力設備・盤の改修
受変電設備や制御盤、分電盤等の劣化・故障した機器、規定の年数を経た機器を改修します。
受変電設備や主開閉器盤を改修する際にはマンション全体の停電が、制御盤や分電盤を改修する際にはその盤から電力を供給している部位の停電が生じます。停電はマンションの生活に大きな影響を与えますので、十分な計画が必要です。
ポイント
停電対策
電力幹線改修や自家用受変電設備、主開閉器盤等の改修に伴い、マンション全体の工事停電が生じます。工事停電は平日の昼間(9時~17時)に行い、居住者への影響を少なくします。しかし、共用のエレベータや給水ポンプは生活上重要です。このため、発電機を設置して、エレベーター・給水ポンプ等の必要最低限な設備に電力供給を行います。
内部階段には非常照明があり、停電後、最低30分は点灯しますが、それ以降は消灯します。内部階段を侵入禁止とするか、発電機で電源をバックアップします。
新電力会社の確認
電力自由化に伴い、東京電力や関西電力等の地域電力会社だけでなく、新電力と呼ばれる電力小売事業者が増えています。マンション居住者にも、この新電力会社の契約者が増えています。
新電力会社と契約すると、新電力会社が電力計を設置します。この場合、電力幹線改修を行い電力計へ接続変更をする際に新電力会社の確認が必要になり、具体的には居住者がその新電力会社の書類を請求して記載する等の手間が生じます。