目的と効果

マンションでよく用いられている給水管の材料について解説します。これらの配管材料が使用された年代や、それぞれの劣化傾向は、改修方針の立案や改修方法を検討する上で把握しておく必要があります。

配管材料

マンションで用いられている代表的な給水菅

①配管用炭素鋼鋼管(SGP) 1975年頃まで給水管として使用されていた配管です。配管の内側は鉄であるため、塩素と反応して錆を発生させます。
②硬質塩化ビニルライニング鋼管
(SGP-VA・VB・VD)
①の配管用炭素鋼鋼管の内面に塩化ビニル管を挿入した配管で、腐食性に優れています。
③被覆銅管(Cu) 主に給湯配管に使用されることが多いですが、給水管においても使用されることがあります。配管が銅でできているため腐食には強いのですが、電食と呼ばれる腐食を発生して漏水を起こす可能性があります。
④水道用硬質塩化ビニル管
(VP)
主に専有部分の給水管で使用されています。ビニル樹脂製であるため、耐久性・耐食性に優れていることから、現在でも使用されています。ただし、紫外線に弱いため、露出部分での使用はお勧めできません。

配管材料別の使用期間

現在、改修工事で使用される配管材料

①耐衝撃性塩化ビニル管
(HIVP)
硬質塩化ビニル管より、さらに衝撃に強い材料です。塩化ビニル管と同様に耐久性・耐食性に優れています。
②一般配管用ステンレス鋼管
(SUS)
ステンレス鋼でできた材料で、基本的にはメカニカル継手というもので接合を行います。耐久性・耐食性に優れた材料で、近年の改修工事では一般的に使用されています。
③水道用高性能ポリエチレン管
(PE)
すべて樹脂でできており、電気融着により接続を行う給水管です。耐久性・耐食性に非常に優れています。耐震性にも優れており、一般的には埋設管に多く利用されています。近年では建物内の給水管にも採用されることが多くなっています。
④架橋ポリエチレン管
(PP・PEX等)
専有部給水管・給湯管で使用される配管です。改修工事ではメカニカル継手を使用することが多くあります。可とう性に優れており、耐震性にも優れています。